「吉兆」という名が現在の地位を築くまでどれだけの時間がかかったんやろうか。
「吉兆=高級料亭」という地位。
吉兆に関わる人たちの努力や思いの積み重ねが『和食のトップ』のポジションまで登りつめることが出来たんやと思う。
しかし船場吉兆の件。
一瞬にして信用がガラガラと崩れ落ちた。
これ現実。
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社長の言葉。
「看板にあぐらをかいていた」
世間が認め、認知してくれる。
「あそこはすごい」となる。
そこで船場吉兆はきっと、
「私達はすごいんだ」と思ってしまったのかもしれない。
いや、きっとそうや。
創業当初に掲げていた「おもてなしの心」を忘れ、お客さんの事も忘れ、自分達中心で物事を考えるようになってしまったんやろう。
「私達はすごいんだ」
こう思ってしまうと、ストッパーがいない限り見事なほどの「うぬぼれ」への道を歩んでしまうと思う。
「◇◇のパセリは食べたらあかんで。洗って使ってるみたいやし。」
事実では無いんやろうけど、こんな噂が昔から飛び交ってるということは、明らかになってしまった船場吉兆だけの問題じゃない。そして異業種の我々ももう一度自分達を見つめなおすきっかけにしないといけないし、もし心当たりがあるのなら正さないといけない。
船場吉兆は悪いことをした。責められても仕方の無い事をした。
でも責めてばっかりではいけない。
もう一度我々が考え直さないといけない大きな問題だ。
店の看板・銘柄にあぐらをかいていないか?
自分の都合だけの対応はしてないか?
長い年月で得た「信用」を数日で失ってしまうという怖さを、船場吉兆が身をもって経験した。
私も他人事としてではなく、船場吉兆の現実を反面教師として自分・自店を見つめなおしたいと思う。