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大阪酒屋日記 かどや酒店

kadoyasake.exblog.jp
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2017年 03月 03日

最終的には「人と人」。

21歳の時に親父の跡をせざるをえなくなって、ちょうどその時は酒屋からコンビニに改装中で、数ヶ月後にコンビニがオープンして、大学に行きながら店長やってて、数年後に自分でも飲める日本酒に出会って、そこから日本酒の世界の楽しさにハマって、コンビニ契約更新する7年でコンビニから撤退して酒屋をやるぞ!と決意して、いざ契約更新の時にビビってしまって、結局コンビニをまた1年更新してしまって、その間に着々と酒屋に戻る事を計画して15年前に酒屋をオープンしました。

コンビニやってる最中の時に日本酒の世界にハマったんですが、何をどうしたらいいのか全然分からない。

当時確か新潟酒のブームで、越乃寒梅や久保田などが人気で、えらいことになってました。
地元大阪の酒で「呉春」というのがあるのですが、これもまたえらいことになってました。

全然分からないので、お酒の問屋さんにいろいろ聞きました。

そしたら、越乃寒梅とか久保田とか呉春とかの取り扱いがあるっていうんです。

リストもらって値段見たら、

「越乃寒梅 白ラベル 12000円」
「呉春 特吟 7000円」

そうか。
人気だから値段も高いんだ。

そう理解して、1本ずつ仕入れた訳です。

越乃寒梅を12000円で仕入れて、12500円でコンビニの酒売り場に並べました。
呉春を7000円で仕入れて、7500円でコンビニの酒売り場に並べました。

そしたら、並べたその日にすべて売れてしまったのです!


え~~~!!
日本酒を売るってこんなに簡単やったんや!

びっくりしました。

これでエエのかー!
じゃあ俺でもすぐに出来るわ!


そう思ってしばらく同じ事をずっとやってました。
多分23歳か24歳くらいだったと思います。

今から考えたらアホみたいなことやってたんですが、その時は「日本酒の世界ってこういうもんなんや」と思ってたんです。

それから1ヶ月もしないうちに「久保田」とか「呉春」とか、大きく看板を出している酒屋さんを見つけて、入ってみたんですよ。

そしたら、まず価格に驚愕。

俺が酒の問屋さんから仕入れた価格と全然違う!
それに、全部「完売」って書いてる!

どういうことや?
分からん。

で、それから近隣の地酒をメインで扱っている酒屋さんに行く事が始まりました。

店構えから本気のところは、やはり店主さんみんなアツい。
よくしゃべる(笑)

で、そんな中で「特約店」というのがあると知りました。

卸問屋さんを介さずに直接蔵元さんから酒を仕入れ、真っ当な価格で造り手さんから預かった酒を販売していくスタイル。

そこで、私が1本12000円とかで仕入れて12500円で売るという事の間違いに気づきました。



で、今度は酒蔵さんに興味を持つようになった。

その頃は新潟の酒ブーム。
ブームという言葉は好きじゃないけど、ブームだった。

新潟の地酒の本をどこかから買ってきて、何も分からずままその本に掲載されているすべての酒蔵さんに手紙を書いた。

手紙の内容は、「地酒に興味がある。教えて欲しい」といった感じ。

そしたら、ほとんどの酒蔵さんから返事はなかった。
そりゃそうだ。
興味があるのは分かるけど、教えて欲しいって何を教えてほしいのか。
ウチの蔵の酒に興味があるのかどうか分からないだろうし。

もっというと、俺自身が手紙を送った酒蔵さんの酒を飲んだ事がない。

当然すべてアウトでした。あたりまえ。



で、また考えてみた。

大阪に酒蔵ってどれくらいあるんだろう?

調べてみた。
ある!

そこから大阪の酒蔵行脚が始まって、その当時稼働している酒蔵さん全部訪問した。
訪問したというか、緊張して酒屋である事を言えないまま、単なる客として行っただけのところも多い。

いろいろ訪問していると、「桶買い」「桶売り」というものがあることが分かった。
全然知らなかった。

自分のところで造ってないけど、他社からお酒を買ってきて、自社ブランドとして販売している酒蔵さんが結構大阪にあることに気がついた。

そうか、そういう世界があるんだ。

いろいろ調べてみると、大阪万博くらいの時やったのか忘れたけど、その頃に国から「自分で酒を造るのをやめて、別のところからお酒を購入し自社ブランドで出すようにすれば、補助金出すよ」っていうのがあったらしい。

その時に結構酒造りをやめてしまったところがあったことも知った。
それで桶買いをするようになった蔵が増えたらしい。
茨木市にも2軒、桶買いしている酒蔵が当時ありました。(桶買い、決して悪いことじゃないと私は思う)


で、そんなこんなから大阪の蔵元さんを訪問し、ご縁が出来てコンビニながら販売させてもらえるようになったりしてました。


次に、大阪から飛び出しました。

当時の情報源といえば、雑誌。
日本酒特集でどどーんと掲載されている酒を扱えばいいんだ!みたいな、今から考えるとやっぱり浅はかというか軽いというか、そんな感じでした。で、酒蔵に電話するものの、訪問すら出来ないし、もちろん取引なんか出来る訳が無い。

訳の分からない酒屋と取引してくれる酒蔵さんは全然なかった。

当時、雑誌に掲載される銘柄のことがめっちゃ気になってた。

どの酒蔵さんのお酒がブレイクするんだろう(今はブレイクという言葉が大嫌い)?
いつか幻の酒を扱ってみたい(今は幻という言葉が大嫌い)!
幻の酒を扱っている酒屋さんは、どんなテクニックを使って取引をしたんだろう(テクニックなんてある訳がない)?

そんな事ばっかり考えてました。アホです。完全におかしかった。
ただ、きっとすべてじゃないだろうけど、酒屋業してて専門店の方向に行こうとしている人の多くが通る道じゃないかと思うんですよねーこれって。


あともうひとつ。
同業の酒屋さんが扱っている銘柄が気になって気になって仕方がなかった。

あの酒屋があの銘柄を取り扱い始めたんだ!
あんな凄い銘柄をやってるんだ!(何が凄いか分からないけど)
それをどこからか耳にするだけで、もう俺はどんどん取り残されていくんだみたいな、ホント意味不明な事で悩んでました(笑)


でも、実はそんなことどうでも良かったんです。
「どうでもよかった」と思えるようになったのも、きっと今までの若かりし意味不明な経験があったからかなと思いますよ今は。



すべて、「縁」。
すべて「人と人」。

これって前から分かってたことだし、本当に思ってた事やけど、実は表向きにきれい事ばっかり言ってて、ホントのところ「銘柄がどうのこうの」とかずっと考えてたんですよ。そんな気がする。恥ずかしい。


しょうもない。
ホンマにしょうもない。

今から10年ちょっと前くらいでしょうか。

出会いは「縁」だし「人と人」だと本気で思えるようになりました。





23歳か24歳の時ちょっとした集まりに呼んでいただいて、そこに私と同い年の、奈良県の酒蔵で働くひげもじゃの男がいて、話してみると実家が福島県の酒蔵で「磐城壽」っていう酒を造ってる。それが今も繋がっている「鈴木大介」氏。

その集まりの時に、他の様々な酒蔵で働く人たちが来てたんですが、そこに「大黒正宗」の井上さんと知久さんご夫妻がいたんですよね~。

会津若松に住んでいる大学の同級生が結婚するっていうので、会津に行く事になった。それまでにお酒をある蔵元さんから買わせていただき、いつか会いに行きたいと思ってたけど、同級生が結婚するということで会津若松に行けるようになった。
2000年。「会津娘」を造る「髙橋亘」氏。そしてその髙橋亘氏は、「磐城壽」の鈴木大介氏と農大時代の同級生というか親友だというのだから面白い。

ある時、酒の会で知り合った人たちから焼き肉に誘われ、その時に「☆☆ちゃん、結婚するんやって。酒蔵の人と結婚するんやで」と。
ええ~~~!聞いてみると福井県で「早瀬浦」を造る三宅さん。その「☆☆ちゃん」というのは三宅さんの奥さんの早苗さんのあだ名。

で、電話してみると三宅さん、めっちゃエエ人!
蔵に遊びに行かせていただいて、またまたやっぱりエエ人!
そして今に至ります。


蔵元さんと酒屋が集まる勉強会で、初めて会ってえらい意気投合して、お互い会う度に「一緒に飲もうぜ」と。
完全に飲み友達みたいな感じでした。
それが約3年ほど。
蔵元さんも私も、取引云々の話なんか全然してなくて、ある時いろいろあって蔵元さんから「どうすんの!」と言われ、蔵訪問もしてないのに取引スタート。

「蔵に来たことの無い人間で取引したの、おまえが初めてだよ」と笑いながら言われました(笑)
行きましたよ後日(笑)
その蔵元さんは「奈良萬」を造る東海林氏。


同じく酒蔵さんと酒屋さんの勉強会の後の懇親会で、たまたま隣に座った人がいて、名刺交換。
そしたらお互い、「あ~~~!」と。

そう、会津若松に住む大学の同級生から「おまえに会わせたいアツい男がいるんだよ。宮泉って酒を造っててね」って言ってた!
「冩樂」を造る宮森氏。
その宮森氏も「(私の大学の同級生から)聞いてました!やっと会えました!」と(笑)
その頃、「冩樂」は県外に10軒も特約店が無かったって言ってたな~。懐かしい。



ある時、某蔵元さんから「かどやの事をチェックしている蔵がいるから、会津に来る時には彼も呼ぶよ」と。
誰だろう?会って名刺交換をすると「ロ万の星で~す」と言う。

それから大阪に来てくれた時には酒飲んで、今度蔵に行かせていただきますねと言いながら行ってなかった。
そしたらガンガン彼からの猛烈アピールが!今までにないアピール具合だ!
俺が女なら、確実に口説かれてるな(笑)まあまあ脅迫に近かったけど(笑)


何年か前から、なんか分からんのですけど、頻繁に会うことが多かったのが「田酒」の西田さん。
昔、取引してないのに大阪のお好み焼き屋で一緒にお好み焼きを食べてました。(その時、同じく取引してなかった奈良萬の東海林さんもいました)
酒に関係ない事で電話でよくしゃべり、気がつくとLINEでガンガンやりとりしてるし、初めて蔵に遊びに行った時にはなぜか西田さんの家族と一緒に晩ご飯を食べてたし、ホント訳分かりません(笑)でも会う度に兄貴分的なところからいろいろアドバイスをいただいて、「おまえはおまえでいいんだよ」って言ってもらえたその言葉が今でも忘れられません。
で、前に言われました。「角本君って、なんかよく会うよね」って(笑)


会う度に緊張してたのが「飛露喜」の廣木さん。毎回シャキッとしておかないとあかんと勝手に思ってました。ホント緊張した。
でもとても気さくでふわっと温かく包み込んでくれるくらいに優しく、満面の笑顔で話をしてくれました。
ある時から会う機会があった時には廣木さんから肩をたたいて声をかけてくれて、「最近どう?元気?」と。
前に廣木さんと2人で飯を食ってた時も過去の自分の苦労話は全然せず、命をかけている酒の話や趣味の話など、緊張しながらもめちゃくちゃオモロかったー。


なぜか道の真ん中で初めて会って名刺交換したのが「あぶくま」の玄葉さん。
某蔵元さんから「かどやには玄葉さんが合うと思うよ」と言われ続け、初めて会ってから1年経たないうちに蔵に遊びに行きました。
玄葉さん面白いー。飛露喜の廣木さんと同い年で、そばでみていると親友同士みたいな感じがするのです。

会津娘の髙橋さんと磐城壽の鈴木さんみたいな感じ。
冩樂の宮森さんとロ万の星さんみたいな感じ。

玄葉さんは独特の空気感を持っていて、それが私は大好きなんですよねー。
お酒も、気がつくと金賞を受賞していて「金賞とっちゃったんだよハハハ」と笑ってる。
もちろんどうせ出品するなら金賞受賞したいと思ってただろうし、でも金賞金賞受賞が目的じゃないのがよくわかる。
しれ~~っといいポジションに居るんですよねいつも玄葉さんは。


2011年に突然メールがきて。
大那の阿久津さんから。
それから、阿久津さんとはやたらと会うんです。
年1回くらいの頻度だったのが、なぜか2回になって。
2回になったと思ったら、3回くらいになって。
で、彼のキャラが非常に面白い。自分の酒のアピールもホント楽しい。



・・・と、まあまだ書きたい造り手さんの事はありますが、このへんでやめときます。

人って面白い!
酒屋をやっててホントに良かった!

だんだん何を書きたかったのか分からんようになってきたのでもうやめときます。

意味不明な長文で失礼しましたm(_ _)m








by kadoya-sake | 2017-03-03 18:13


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